iPS細胞を使った中枢神経系の再生医療

カテゴリ 再生医療
ジャンル 研究
氏名 岡野栄之
役職 生理学教室 教授
施設名 慶應義塾大学 医学部
住所
主な病気名 ALS,脊髄損傷
主な治療名 中枢神経系の再生医療(iPS細胞)

【本動画について】

本動画は2012年10月10日に掲載されたものです。

一度傷ついた人の中枢神経系(脳・脊髄)は再生しないというこれまでの常識を覆す最先端の研究が進められています。脊髄損傷の患者さんにiPS細胞を誘導し、神経のもとになる細胞である神経幹細胞を移植することにより機能回復を起こすという画期的な再生医療の研究と開発に挑んでいるのは、慶応技術大学病院の岡野栄之教授です。
アルツハイマー病の患者さんからのiPS細胞の樹立にも世界で初めて成功し、病態解析さらには治療法の開発を多くの方々と協同しながら研究を進めている岡野教授に、研究の現状と治療の可能性についてお話を伺います。

このビデオで取り上げたテーマについて詳しくは、次のリンクを参照してください:

●多能性幹細胞 ES細胞
幹細胞、特にiPS細胞という細胞を使って中枢神経系の再生医療を目指した研究を行っています。
ヒトのES細胞は、神経系の細胞、肝臓、血液、心筋、骨、筋肉など、いろいろな細胞に分化することができる。従って、これらの細胞に問題が起きたような難病の治療の切り札になるということが期待できます。アメリカではすでに網膜色素変性症に対してES細胞由来の細胞を移植した論文が2012年に発表されています。

・ヒトES細胞を用いたヒト神経発生の解析
http://www.okano-lab.com/okanolab/kanrinmal

●iPS細胞とは
ES細胞は臨床応用が始まってきているとは言っても、移植後の拒絶反応、ES細胞は初期胚(分裂を始めたばかりの受精卵)から作るため、いわゆる「ヒト胚」を利用するという生命倫理的な問題があります。
この問題を克服するために、皮膚の細胞に4つの転写因子を導入するだけでES細胞に類似の細胞が出来上がるようになりました。初期胚を使わずに、ES細胞のような性質を持った細胞ができるということで、生命倫理学的な問題を克服できるとともに、さらにうまくいけば自分自身の細胞を使った治療ができるということが期待されており、これは京都大学の山中伸弥先生が開発した技術です。

・『ほんとうにすごい! iPS細胞』 岡野栄之 著 講談社 (2009/4/15)

・iPS細胞-再生医療へのアプローチ 鼎談(『BRAIN and NERVE』第61巻6号より) (医学書院)
http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA02834_03

●iPS細胞による運動機能の回復
脊髄損傷の患者さんにiPS細胞を誘導して神経の元になる細胞である神経幹細胞を移植し、機能回復を起こしてやる、画期的な治療法を開発したいということで長年研究を行ってきました。
私たちはこのiPS細胞による細胞治療の安全性を担保できるように詰めの実験を行っており、5年先には患者さんに応用できるような状態まで進められるように準備をしている段階です。

・再生医療実現化を目指したヒトiPS細胞・ES細胞・体性幹細胞研究拠点
http://www.lifescience.mext.go.jp/download/sr2/sr2-2.pdf

●iPS細胞の特徴
iPS細胞技術のもうひとつの特徴は、疾患の理解に使えるということで、これはまさに創薬研究にも使えるわけです。
iPS細胞から作った神経細胞は生まれたばかりの細胞であり、アルツハイマー病を発症する前の細胞が得られ、これがどういう過程で細胞に異常が起きて発症していくのかといったことを調べる病態解析さらには治療法の開発といったことを多くの方々と協同しながら研究を進めているところです。これは「時間と空間を超えた新しい解析手法」と言えます。

・疾患特異的iPS細胞グループ
http://www.okano-lab.com/okanolab/ips

【職歴・学歴】

昭和58 (1983)年3月 慶應義塾大学医学部卒業
昭和58 (1983)年4月 慶應義塾大学医学部生理学教室(塚田裕三教授)助手
昭和60 (1985)年8月 大阪大学蛋白質研究所(御子柴克彦教授)助手 
平成元 (1989)年10月 米国ジョンス・ホプキンス大学医学部生物化学教室研究員
平成 4 (1992)年4月 東京大学医科学研究所化学研究部(御子柴克彦教授)助手
平成 6 (1994)年9月 筑波大学基礎医学系分子神経生物学教授
平成 9 (1997)年4月 大阪大学医学部神経機能解剖学研究部教授
(平成11(1999)年4月 大学院重点化に伴い大阪大学大学院医学系研究科教授)
平成13 (2001)年 4月 慶應義塾大学医学部生理学教室教授〜現在に至る
平成15(2003)年 21世紀型COEプログラム 「幹細胞医学と免疫学の基礎-臨床一体型拠点」拠点リーダー
平成19年10月 慶應義塾大学大学院医学研究科委員長
平成20年7月 グローバルCOEプログラム「幹細胞医学のための教育研究拠点」(医学系、慶應義塾大学)拠点リーダー

臨床の場合、治療効果には個人差があり、必ずしも効果を保証するものではありません。
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